神戸異人館見学記(H2O阪神 H29年度第3回見学会)

今年度、第3回の見学会は、震災後22年が経過し、神戸異人館等の災害復旧に尽力されたHM1期生の山﨑誠氏に「神戸異人館まちあるき」と題して3か所の案内をお願いした。

10月1日(日)9時15分に風見鶏の館前広場に集合、8名の参加を得る。

◆風見鶏の館(旧トーマス住宅)

神戸市の特別許可をいただき小屋裏・地下室の見学を許された。館長の案内で2尺幅余りの階段を上り、小屋裏に着く、天井高が思うほど有り、部屋が作れそうな空間が広がっていた。小屋裏の梁の掛け方を凝視する。塔屋の最上階から神戸の港が見渡せた。小屋裏から外壁の煉瓦の復旧の仕方を覗き込むと、1個1個の煉瓦を夫々に緊結して復元していた。
地下に降り、煉瓦造の基礎構造を見学、以前は池であったところに建設したそうで、沈下対策していたことを聞かされた。引き続き、内部の部屋を見て歩く、南西部の角の部屋がバルコニーで有ったようで外部の壁仕舞いが後付で取り付けた議論に及んだ。各部屋は調度品が整えられて、観光客の目を楽しましていて、活用が上手く行われていた。

 

 

 

 

◆旧ユニオン教会

フロインドリーブ本店として教会がベーカリーカフェに甦っていた。1928年にW.M.ヴォーリズの設計、竹中工務店施工で建設され、ユニオン教会の移転後、バブル等の経済余波に翻弄され、フロインドリーブ夫妻に見いだされた。

教会はトレーサリーで飾られポインテッドアーチ形状の窓を持つゴシック風のデザインで、礼拝堂はハンマービームトラスが特徴だったようで、復旧されたトラスは戦後の架構と聞き及ぶ。外壁は放置状態が長く続いたため蔦がうっそうと蔓延っていたようで、割れ目に入った蔦の吸盤の除去にバーナーを使うご苦労をされたようだ。修理のなかで、異形鉄筋(主筋)の使用が認められたことは、特質すべきことである。昼前ではあったが、サンドイッチとスープをいただいた。

◆居留地旧15番館

明治12年頃、旧居留地の15番地に貸家として建設されアメリカ領事館に一時使用されていた建物で、現在は㈱ノザワの所有になっている。木骨レンガ造、2階建。震災で軸組の姿が見えない程全壊してしまった建物を見事に復旧している。修復には地下室が設けられ、免振装置が取付けられていた。大きな構造補強としては、①煙突を利用してRC造の2本の柱が建物の主軸となった。②屋根裏に鉄骨の梁を井桁に組、煙突柱、2階桁梁に留め付いる。③地下室を作り、免振装置を設けている。耐圧床版と煙突の柱と小屋裏の鉄骨梁とで構造補強を行っている。

地下室の設置で店舗のサービスヤードと復興リトルミュージアム(俗称yamazakiミュージアム)として利用している。店舗でコーヒーを注文、内装の設えと暖炉の状態を見て散会となった。

(2017.10.01 俵 嘉久)