講演「歴史的建造物を活かした景観まちづくり」

“古民家再生:愛着のある風景を守る物語”

川西市郷土館(旧平安家住宅)で阪神ヘリテージマネージャー(以下HMと記載)の森畠 吉幸氏の講演がありました。
川西市は、平成16年の景観法の施行により、平成27年3月に「川西市景観計画」を策定しました。平成27年10月の運用開始前に、本計画の基本理念である「生活者としての身近な視点から景観を捉え、良好な景観形成に向けて、市民と事業者と行政による一体的な取組がなされること」の意味を広く伝えることを目的として、市内の北部・中部・南部をリレー形式でつなぐフォーラムの開催があり、上記の表題で、森畠 吉幸氏が北部編の講演を担当されました。

07-01
冒頭に、HMの説明を行い、HM活動の広報をしていただきました。続いて、今話題の新国立競技場を引き合いに出して、景観と建設費の問題を公聴者に投げかけました。
次に、川西市の景観建造物等のプロジェクターによる映写に移り、満願寺、多田神社に始まり、川西市の集落の街歩きと題して、川西市の南部の久代の洋館から北部の黒川の黒川小学校まで、多くの景観を映写いたしました。

印象深かったのは、石道の煙出しのある民家や下財集落のカラミ石の景観、笹部の集落、黒川のエドヒガン桜、炭焼きの煙、平野・東多田・西多田の集落、一の鳥居の寒天製作小屋と民家、小戸の鶴之荘、花屋敷・火打・久代の洋館等川西市を縦断した思いで、川西の景観を一気に街歩きしたような気持ちになりました。やはり景観に重要に関係していたのは、新名神高速道路建設による景観の変化でありました。

続いて、自己の得意とされている古民家再生を猪名川町の古民家を引き合いに、オーナーからの依頼エピソードから解体、完成に至る解説を熱く語られました。(少し時間オーバーになりました。)

07-02
最後に、古い建物でも、手を加えれば快適に居住性能があがり、歴史的景観が守れますとのことで、講演を終了する。

川西市は南北に長く、多くの集落や民家が点在しており、田舎の原風景がいたるところに残り、実に緑豊かな市だと実感いたしました。 緑豊かな景色を上手に景観に取り入れる施策を願うところである。(文責:俵 嘉久)

■参考■
川西市景観計画