たてものガイド、大活躍!!

阪神地区で催された一般参加の建物見学会、ヘリテージマネージャーは、そのガイド役となって、協力しました。ガイド役をされた方々からのリポートです。

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「西宮まちたび博」ガイド体験記

~「夙川カトリック教会と旧山本家住宅を訪ねる」のガイドをして/稲毛政信~

「西宮まちたび博2013」の96プログラムの一つである「夙川カトリック教会と旧山本家住宅を訪ねる」のガイドを、2013年10月19日(土)に、初めてさせていただきました。

これらのモダニズム建築探訪は、「まちたび博」の中でも人気のプログラムで、30名の参加者は、募集してすぐに一杯になったそうです。当日は、曇り空で、最後の旧山本家住宅見学の途中で雨が降ってきましたが、何とか移動中は大丈夫でした。皆さん熱心に耳を傾けて下さいました。

このガイドの為に、いろいろと調べさせていただきましたが、共に、阪神大震災の激震地に在り、数奇な経歴を持っています。夙川教会

夙川カトリック教会は、昭和7年建設の鉄筋コンクリート造のネオ・ゴシック様式で、築81年になります。阪神大震災では、屋根瓦や壁が剥がれ落ちましたが、倒壊は免れました。

 

建設時の「市街地建築物法」では、関東大震災の翌年1924年(大正13年)に、世界で初めての耐震基準が、木造を除いて制定されていましたが、これにより、倒壊には至らなかったと思われます。

震災後、すぐに応急復旧し、2012年に80周年記念として、柱や妻壁の補強や屋根面にブレースを入れて耐震補強を行い、バリアフリー化も行っています。ステンドグラスも8割は当初のガラスを使い、ほぼ当初の姿を保っています。

 

山本家住宅

旧山本家住宅は、1938年(昭和13年)建設の木造住宅で、築75年になります。阪神大震災では、周辺の古い木造住宅が軒並み倒れる中で、ほぼ無傷で残っています。歴代お住まいの社長さんは、玄関周辺が一部洋風で、メインは多くが和風のこの住宅の間取りが気に入られたのか、まったく間取り変更が有りませんでした。よって昭和初期の、上質な木造住宅がそのまま残っている貴重な住宅です。

建設時の写真が残っており、布基礎も鉄筋を入れ、517㎡もある主屋は、ほぼ4室程度毎に壁で区切り、廊下や縁側で繋がるようになっていて、まるで、長屋的に分節化して、壁を多く入れています。古い木造住宅の大庄屋のように、端から端まで見通せるようには成っていません。

設計は、当時の三越大阪支店住宅建築部の岡田孝男氏で、当時、鉄筋コンクリート造や鉄骨造では耐震基準に成っていましたので、その応用として、木造住宅でも耐震設計したものと思われます。特に、接合金物を使わない古い工法でも、耐震性のある木造住宅を造っており、昭和初期の耐震性ある木造住宅として非常に貴重な住宅です。

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「西宮の指定・登録文化財-近代住宅-」展ガイド体験記

~浜甲子園 現地見学会/野山 恭一~

西宮市立郷土資料館で行われた「西宮の指定・登録文化財-近代住宅-」にあわせて行われた関連行事の見学会の報告です。平成25年11月8日(金曜日)に行われました。

秋晴れの天気。午後2時少し前から参加者たちは、集合場所の濱甲子園バス停近くに三々五々集まってきた。西宮郷土資料館からスタッフ数名とひょうごヘリテージ機構阪神から私と俵さんの2名が本日の案内役です。

午後2時には20名ほどは集まり、早速、最初の見学場所である「濱甲子園倶楽部会館」に向かった。バス停からすぐ近くで、私が、濱甲子園健康住宅群(昭和6年から大林組が建築した木造住宅)の解説を少し行い、阪神甲子園駅・甲子園球場や阪神パークのことに関連付け、阪神浜甲子園線(軌道線)の話もした。この間、近くの建物や風景の写真を撮られる方も結構おられた。

濱甲子園倶楽部 h02

5分ほど歩いて「濱甲子園倶楽部会館」に到着。まず、会館の世話役の方に少しお話を伺い、それから館内の見学を行った。参加者は1階及び2階を自由に見学され、お互いに写真を撮ったり、お話をされたりと結構楽しんでおられるようだった。

スケジュールの関係上、時間も十分とはいえなかったが、館内を見学後、2班に分かれて、住宅群の見学をする。私の担当は会館から東側で、集合場所のバス停までの間にある住宅群です。

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班は7名ほどで、まず、会館の南東側すぐにある平屋建ての住宅。敷地は80坪ほどあり、建物は平屋建てながら結構意匠的に凝っている。(健康住宅群は総てこの程度の敷地面積になっている)

次いで、更に南東側に行き、1部2階建ての住宅(ここは、会館の館長さんの自宅)で、外観の意匠的な特徴として、船舶を感じさせる丸窓が幾つか並んでいる建物です。参加者の皆さんは、生垣や門扉前から覗いたり、写真を撮られていました。

次いで、少し北に向かって歩き、広い道路を渡り、しばらくして見えてきた住宅に着くが、この住宅は2階建てで、玄関の屋根のそりに特徴がみられる。次いで、東に向かうと平屋建てで、門扉が高く、更に樹木があり、よく見えない状況の住宅がある。なんとなく、昭和のはじめの住宅らしさが窺えた。

次いで南に下がった道路のそば(角地)にある住宅。ここは、結構敷地が大きく、建物も大きい。屋根瓦はS形瓦となっている。最後に、住宅群の入り口近くにある2階建ての住宅。ここは東面にある矢切に特徴がある。

古い写真にみると住宅群の案内所になっていたようです。以上5箇所の住宅を見学し、予定通り午後4時に、西コースの参加者も戻ってきたので、挨拶をかわし、解散となった。